_Project Story“東京メトログループ初”に
入社3年目の社員が挑戦。

東京メトロ都市開発では現在、東京メトログループとして初めてとなる老人ホームの開発に取り組んでいます。そして、この重要なプロジェクトチームに抜擢されたのが、入社3年目となる2名の若手社員です。今回は、設計と計画という異なる役割を担っているそれぞれの社員の視点を中心に、このプロジェクトにおける実際の業務内容やぶつかった壁、仕事の面白さなどについて語ってもらいました。

プロジェクト概要

2024年夏、北馬込に新たに開業する予定の介護付有料老人ホーム「チャームスイート旗の台(仮称)」。その開発プロジェクトは、東京メトロの社員寮だった北馬込の用地を新たに有効活用するべく、2020年にスタートしました。東京メトロ都市開発は、土地所有者である東京メトロや竣工後の運営を担当するチャーム・ケア・コーポレーションと連携し、用地検討から既存建物の解体、新たな建物の設計、施工、竣工までを担当しました。

PROJECT MEMBER

設計

小林 広樹
不動産事業本部
開発部 建築設計課
2021年入社

計画

西澤 玉葉
不動産事業本部
開発部 開発計画課
2021年入社

PHASE_1

老人ホーム開発プロジェクトに声がかかる

小林広樹設計

東京メトログループ初のプロジェクト。
入社2年目で巡ってきたチャンス。

もともと大学では建築を専攻しており、設計から施工まで一貫して携われるデベロッパーやゼネコンへの就職を考えていました。私が就職活動をした時期は、ちょうどコロナ禍に突入した年。小規模の会社が、採用方針を急転換する様子などを目の当たりにし、デベロッパーの中でも安定感のある企業で働きたいと思い、東京メトロ都市開発を選んだのです。そして、2年目には早くも希望していた建築設計課に配属。さらに、すぐ本プロジェクトへの参加が決まったときは、率直にうれしかったですね。しかも、老人ホーム施設の開発は東京メトログループとしても初めてと聞き、「チャンスだ!」と思いました。当時は入社2年目で知識不足は自覚していましたが、逆に「2年目なんだから、わからないのは当然」とポジティブに捉えていたため、プレッシャーよりも期待の方が大きかったと思います。

西澤玉葉計画

「大きな事業に携わりたい」
入社とともに抱いた成長への期待感。

街づくりや空間づくりに興味があり、就職活動ではデベロッパーを中心に見ていました。ただ、あまりに大規模な会社だと、部署ごとの業務が細分化されすぎていて開発の全体像を把握できなさそうだと思っていました。その点、東京メトロ都市開発は、東京メトログループとしての知名度や基盤の強さを持ちながら、規模的にも少数精鋭。ここなら、私の希望が叶うのではと思ったのです。そして、入社前から「開発をやりたい」と主張し続け、2年目から開発部へ。開発計画課の一員として、開発物件の事業性の検討や収支シミュレーション、契約などの業務に取り組むことになりました。もちろん、先輩に教わりながらの業務となりますが、私もこの開発プロジェクトに関わることが決まったときはうれしかったですし、早くも大きな成長の機会を得たと思いましたね。

PHASE_2

「解体工事」と「覚書」の業務からスタート

小林広樹設計

会議も、現場も、最初は緊張。
真摯に向き合う大切さも学ぶ。

本プロジェクトに私が参加した当時、建築設計課ではその土地にもともと建っていた寮の解体工事と、実施設計に移る前の基本設計や用地調査などを並行して進めている段階でした。「チャンスだ」と意気込んで参加したものの、最初は会議の内容すら理解できない状態。上司に言われて議事録をつけはじめ、2〜3ヶ月ほど経つ頃にようやく話が理解できるようになってきました。解体工事がはじまると、工事会社との打ち合わせや進捗の確認で現場に出ることも増えます。工事の開始前に近隣に住む方々に説明して回るのも、私たちの役目です。初めのうちは上司と施工会社の方に同行しているだけでしたが、途中からは説明役を任されることに。緊張しましたが、騒音や振動などでご迷惑をおかけする立場なので、できる限り丁寧に説明することを心がけました。「真摯に向き合えば伝わる」ということを実感した業務でもありましたね。

西澤玉葉計画

ともに歩むパートナーを見極め、
事業の意義を問いただしていく。

今回のプロジェクトにおいて計画課が担う重要な仕事の一つが、施設の管理・運営をお願いする事業者との契約を取りまとめていくことです。契約締結には大きく3段階あり、「覚書」「予約契約」「本契約」という順で進めていきます。プロジェクトに参加した2022年4月は運営事業者が内定し、これから覚書を作成するという段階。作成と並行して、グループ初の老人ホーム施設の施工なので、そもそも「老人ホームとは」という施設の定義と、複数ある運営事業者から、その運営事業者を選ぶ理由を改めて明確にし、事業の意義を言語化していく必要があったのです。「覚書」という言葉すら聞いたことがなかった私ですが、「契約書をつくる」とは単に契約内容をまとめることではなく、事業をともにするパートナーを見極めることであり、事業の存在理由を考えていくことなのだと、改めて契約関連業務の重要性を感じるきっかけになりました。

PHASE_3

それぞれの現場で、
大切なことを学ぶ。

小林広樹設計

現場を見て初めてわかる細かな要素が
無数にあることを体感できた。

プロジェクトに参加してから半年。より詳細な実施設計がはじまると、今度は現場で図面を見ながら「その通りに施工できるかどうか」を施工会社と一緒に確認していく作業に移ります。そこで発覚したのが、昨今の物価高や社会情勢の変化で、契約時点に想定していた施工とリアルな施工の予算が合わなくなってきているという問題です。高級感を打ち出した施設だったこともあり、品質を簡単には落とせません。設計事務所だけでなく、施工会社にも技術協力という形で知恵を借りて細かな部分まで変更を検討しつつ、運営会社とも協議を重ねながら調整していきました。計画どおりに進まないことを改めて実感しましたし、現場を見て初めてわかる細かな要素が無数にあるということも体感できた出来事でした。こうした細かな検討や対応の積み重ねが実り、ようやく着工へと進んだときはホッと胸をなでおろしたのを覚えています。

西澤玉葉計画

情報はただ集めても意味がない。
上司から学んだ、契約交渉に必要なもの。

覚書の取り交わしを終え、運営事業者と「予約契約」を締結したのが2023年1月。私が参加して10ヶ月目のことです。予約契約では複数回にわたって契約交渉を重ね、お互いの条件を確認しながら契約内容を具体化していきます。適切な予約契約を結ぶためには、自分と相手の譲れないポイントを見極め、双方が不利益にならないように判断しなければいけません。先輩が交渉を進める現場を目の当たりにして大きな学びになったのは、持っている情報に優先度をつけておくことの大切さ。事前情報として、竣工後の建物管理を担当するカスタマーサービス部をはじめとした他部署の要望や主張などをヒアリングするなどはしていたものの、私はそれらの情報を並列に見てしまっていて、正しい判断するために「優先度をつける」ということまではできていませんでした。ゆくゆくは一人でも交渉できるようにならなければいけない、そのための課題が明確に見えた瞬間でしたね。

PHASE_4

完成に向けて。未来への想い。

小林広樹設計

予想外の出来事も乗り越えて
図面が形になっていく面白さ。

現在はいよいよ施工が開始したタイミングです。竣工に遅れを出さないための私の役割は、細かな図面のチェックと現場の進捗管理に尽きます。ここまでがそうだったように、今後も予想外の出来事がきっと起こると思いますが、入社2年目のうちから、計画段階をはじめ、解体、設計、施工、運営まで一貫して関われるのは、東京メトロ都市開発の大きな魅力だと感じています。今回の老人ホーム施設の竣工が今から楽しみでもありますし、新たに動き始めた別のプロジェクトにも参加しています。そちらではこのプロジェクトでは経験できなかったポテンシャル調査という開発の初期段階の業務にて、図面の作成にも挑戦しているところです。自分が手を動かしたことで、よりプロジェクトに対する愛着も強くなっていますし、プロジェクトが進むことが楽しみですね。また、現在の自分が担当できるのは、一棟の建物を建設するプロジェクトが中心ですが、今後は地域の再開発や住宅開発など、より大きなプロジェクトのメイン担当を担えるよう、さらに成長していきたいと考えています。

西澤玉葉計画

若手が、安心して自分の課題に
向き合える環境がある。

世間に今回のプロジェクトを発表するプレスリリースをつくるのも、計画課の担当する重要な業務の一つです。今回のプロジェクトでは、2023年6月に「東京メトログループ初」と銘打ってプレスリリースを出しましたが、その発表内容は関係各社と細かく協議を重ねた上で精査しながら決めていきました。プレスリリースは、当グループの取り組みを大きくアピールするチャンスにもなれば、内容次第では信用問題にもつながります。本当に必要な情報を取捨選択し、その情報を正確に扱う。影響力を考えれば、気の抜けない大きな責任をともなう仕事です。
また、これからはいよいよ「本契約」の交渉もスタートします。ですが、予約契約の段階から、社会情勢や経済状況は変化していますし、最終的に良い契約を結ぶためには常に状況を注視し、契約内容を再度細かく調整しながらさらなる交渉を重ねていかなければいけません。目の前を見れば難しい課題もたくさんありますが、それは裏を返せば成長できる環境があるということ。そして周りには、ベテランの先輩社員をはじめ、困っていると「どうしたの?」と手を差し伸べてくれるメンバーがいます。そうした周囲のサポートがあるからこそ、若手社員が安心して自分の課題に向き合っていける。それが、東京メトロ都市開発の魅力なのではないかと感じています。